「Meltな人々。」
vol.2MO'STO
「心とろける、メルトな時間。」をコンセプトに掲げるお香ブランド〈Melt〉。
この「Meltな人々。」というインタビューシリーズでは、Meltに携わってくれている方を中心に、その感性や取り組みなどについてお話を伺っていきます。
vol.2では、大人気お香たて「HAND」の原型を製作していただいたMO’STOのすとうともこさんにお話しを伺ってみました!

MO'STO(すとうともこ)
Instagram:https://www.instagram.com/mosto_cera/
陶作家。形を使わない一点ものを中心に制作。作品販売のほか、ブランドやメーカーとの共同制作や、体験装置としての作品展示やワークショップなど。
MO'STO(すとうさん)について
ーお久しぶりです。
ご無沙汰しております。
ーまずは簡単な自己紹介をお願いします。
おもに陶土を使って、個人制作やご注文いただいた品を制作しています。
MO’STO名義では人の身体を題材にしたものが多いですね。花器やお香たて、本立てや蓋物など、主に実用品を制作しています。
すとうともことしては、言葉を題材にした装置としての展示作品の制作をしています。

ー陶器をはじめたきっかけはなんだったのでしょうか?
食べることが好きで、それがよそわれている器がきっかけですかね・・・?
どうしても陶芸がやりたかったというより、辿り着いたといった感じの方がしっくりきます。
焼き物って、ほんの少しの温度や湿度の変化で完成系が変化してしまうので、完璧なものって作れなくて。そんなところが自分に合っていたんだと思います。

ーその中で完璧なものを作りたいという気持ちが創作の動機になってたりするのでしょうか?
どうでしょう?今でも、作陶をしていて、私は陶芸に向いてなかったな、なんでやってるんだろう…と思うことがあって。でも納得いかないからやめられないというか。完璧なものが作れないからこそ続けられてる気がします。
ーMO’STOという名前の由来をお聞きしてもいいですか?
自分の名前のアナグラムです。
ーご自身の名前を出さないでブランド名を冠したのには何か理由があったのでしょうか?
私自身、ものを作っていないと生きていけない人間ではないと思っていて。だからこそ自分とブランドを切り離すためにブランド名をつけたんです。いつもはアナグラムとしか答えないのに、言わされちゃいました・・・。
ーMO'STOさんといえば、「手」をモチーフにした作品の印象が強いのですが、何か「手」に対して思い入れなどあるのでしょうか?
芸術系の大学を志望していたので、受験の際に「手」を無限に作っていたんです。そのおかげか、お客様に一番最初に褒めてもらえたのも「手」の陶器だったんです。
受験勉強の延長でいつまで「手」を作っているんだと思っていた時期もありましたが、今思うと実は自分の精神安定に寄り添ってくれてたのかもなんて思ったりします。

HANDについて

2023年6月から12月の間、MO'STOさんに型を用いず一つ一つ手作業で制作していただいた【HAND】。手作業が故の量産の難しさやその他事情により、多くのお客様に愛されながらも、12月に一度生産を終了することになりました。
ー私自身【HAND】はもう販売できないと思っていたので、「作れるかも」と連絡をいただいた時はとても嬉しかったです。
生産が終了してから、私もどうにか型を用いて量産できないかと模索していたのですが。【HAND】は手作業だからこそ作れる形だったので、型での再現は難しかったんです。
そんな折、お仕事でお世話になっている方から、「よい型屋さん、製陶所さん、材料屋さんがいらっしゃるので会いに行きませんか」とお声がけをいただきました。
そこで相談してみたところ、「やれますよ、チャレンジしてみましょう」という言葉をいただき、再製造につながりました。
ー新作HANDでは、型に持ちいる原型の制作をお願いさせていただきました。普段の作品制作とは心持ちが異なったのでしょうか?
私自身、型を制作・使用することはあるのですが。あくまで私が最後まで制作するものなので、その原型を作る時はある意味程よく適当に向き合えるんです。
今回の場合は、陶土と磁土、厳密には扱う素材も異なりますし、原型を元に型が製造され、職人さんがそれを制作するということ…
そしてそれが最終的に何百というお客様の手元に届くと考えると「責任重大だ。」とプレッシャーを感じていました。
ーMO'STOさんだから作れる形を「型」を用いて再現したいと思っていたので、色々ご無理を言っていた気がします… 最後まで寄り添っていただき感謝です。
ー原型の制作だからこその技術的な悩みも生まれたのでしょうか?
そうですね。常に「作りたい形」と「型をとりやすい形」を同時に思い浮かべている状態で、判断に苦労しました。また、型で再現する場合、この細やかなニュアンスや作り込みはどの程度再現されるのだろう?と着地点が見えないまま制作していたことも、悩んだ点です。
それらは、黒田さん(型屋さん)に相談するとほぼ杞憂にすぎなかったのですが…
ー新作HANDで注目して欲しいポイントはどこでしょう?
一番時間をかけたのは「溶け」の表現ですね。どういうふうに手が溶けているのか?粘度は?素材は?という点を深掘りながら形を作っていたので、手と土台の接点は一番こだわったと思います。
実は、「右手」であることもポイントです。利き手の関係で、私が制作するものはほとんど「左手」になるんです。もし1点ずつ右手を作ろうと思うと何倍も時間がかかってしまうので。これは型だから成し得たことですね。
指の流麗さや手のひらの大きさ、指の関節の深さなどこだわった点を挙げたらキリがないです。

ー試作の度にああでもない、こうでもないと議論した記憶が懐かしいです。
ー最後に今回の制作で一番思い出に残っているシーンを教えてください。
黒田さん(型制作)、光山さん(成型)のお言葉や姿勢が印象的でした。
黒田さんの「できますよ」「やれますよ」「それが仕事なんで」という複雑な形状のものでもやってみます、という常に挑戦し更新しようとし続ける姿勢。
光山さんの「土がどの状態の時にどんな道具でどのように作っていますか」「作品の味を出せるよう頑張ります」という、原型制作者の思いを汲み取るように、それが製造物に宿るように制作する、という姿勢。
お二方のプロ意識に触れて、産地を支える底力を垣間見たこと。陶業を支えている自負と誇りを感じながら仕事をしている、と仰られていたのを体感する時間でした。
私の制作が1人で完結することが多いので、改めて憧れる職人達の心意気を目の当たりにして(それが私の制作したものに対してだと思うとさらに)胸が熱くなりました。
今後のMO'STOさんについて
ーMO'STOさんの今後について教えてください
地味ですが、まずは継続することを大切にしています。手作りだからこそ、数少ない制作物にしっかりと言葉を与えてお客様に届けられるようにしたいですね。
直接お客様とお話しする機会も増やせたらな良いなと思っています。
ー最後に、これからやってみたいことを教えてください
来年に向けて、初のアイテムを制作中です。ゆくゆく型も取り入れた制作に移行できるよう勉強しています。セミオーダーも受注できるようになりたいですね。
それらを形にしながら、MO’STO以外の展示作品にも展開できるよう、健康に楽しんでいきたいです。
お話しいただきありがとうございました。
よりMO'STOさんの商品や世界観に親しみが沸きました。
来年の新アイテムを楽しみにしています。
ー
MO'STOさんに原型を作っていただいた新作【HAND】は12月頃に予約販売を開始予定です。完成まで今しばらくお待ちくださいませ!